2019年10月28日
Music Voice インタビュー記事
TEAM SHACHI「ロックマン」との
コラボで見せる本気
さらなる高み目指す
《2019.10.27 11:00 Music Voice》

昨年10月に“チームしゃちほこ”から改名した名古屋発の女性ユニットTEAM SHACHI (読み:シャチ ※TEAMは読みません)が10月2日、1stダブルA面シングル「Rocket Queen feat. MCU/Rock Away」をリリースした。
「Rocket Queen feat. MCU」は、31周年を迎えたCAPCOMの名作アクションゲーム『ロックマン』とコラボし、作詞にポルノグラフィティの新藤晴一、作曲に本間昭光を起用した。さらに『ロックマン』ファンであるKICK THE CAN CREWのMCUをフィーチャリングした1曲。
インタビューでは「Rocket Queen feat. MCU」のレコーディングエピソードや、今のTEAM SHACHIがやらなければいけないことなど、多岐にわたり4人に話を聞いた。
【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

ドッキリなんじゃないかと思った
――グループ名がチームしゃちほこからTEAM SHACHIに改名されて、1年が経ちますが、大きな変化はありましたか。
大黒柚姫 まずはTEAM SHACHIの音を作ろうというのを改名してからやっていまして、チームしゃちほこ時代はジャンルに囚われずいろんな楽曲を歌わせていただいていました。TEAM SHACHIになってからはラウドでポップ、そこにブラスサウンドという3本の柱を立ててそれを軸に、今作だったらゲーム音などを取り入れたりしています。ライブではブラス民というブラス隊6人が加わったところが一番大きな変化だと思います。
――そのブラス民の皆さんはお名前とかあるんですか。
坂本遥奈 まだ公開はしていないんです。今の所好きな食べ物ぐらいしかわからない(笑)。徐々にどんな人達なのか情報が公開されていくんじゃないかなと思います。(インタビュー時点で)
――ファンの方の反応はどんな感じでしょうか。
咲良菜緒 客層が変わりました。今まではアイドルファンの方が多かったんですけど、変化がありました。ライブのノリ方も変化しているように思います。
大黒柚姫 名前のコールは減りました。ノリ方も「オイオイ!」とかクラップとか、バンドのライブみたいな感じになってきています。初見の方でもすぐに見て真似できるような感じになってきたので、フリーライブとかをやっていても初めましての方にも見やすいところはあるのかなと思います。
――間口が広がったんですね。TEAM SHACHIという名前もシャチの強さを感じさせられます。
秋本帆華 まさにそこなんです。シャチは海洋生物のなかでもトップの強さなので、私達もこの世界でトップになろうという意気込みで、TEAM SHACHIという名前を付けました。改名したことで名古屋を捨てたわけではなくて、名古屋のことも忘れてはいません。
大黒柚姫 その証として、ロゴのシャチはしゃちほこのように反り返っているんです。
秋本帆華 ちゃんとfrom nagoyaなんです。
――グループ紹介のときにしっかり「from nagoya」と言ってますからね。さて「Rocket Queen feat. MCU」はポルノグラフィティの新藤晴一さんと、多くのヒット曲を手掛けてきた音楽プロデューサーの本間昭光さんというすごい方々によって制作されています。
大黒柚姫 最初はお2人に作っていただけるということで、信じられませんでした。ドッキリなんじゃないかなと思いました。そのあとに本間さん、晴一さんと打ち合わせをさせていただいて。
大黒柚姫 今作はすごくキーにこだわりました。最初頂いたときのキーが違ったんです。そこから私達が実際に歌ってキーを決めて、一番良かったところで出来上がったものが、今皆さんに聴いていただいているものなんです。みんなで良いものを作ろうと団結して、出来上がった曲なのですごく思い入れの強い曲になりました。
――そのエネルギーがこの曲にはありますよね。ちなみに皆さん『ロックマン』は知ってました?
一同 知ってました!
秋本帆華 『ロックマンエグゼ』を私の兄がやっていたので、それを見てました。
――皆さんがゲームのキャラクターになって登場しますけど、自分がゲームに出ているのはどうですか。
坂本遥奈 それもすごく信じられないことでした。KICK THE CAN CREWのMCUさんがラップで入ってくださっているんですけど、MCUさんはすごい『ロックマン』ファンで、ロックマン界隈で有名みたいなんです。そのMCUさんがラップで参加していただけることになったことを聞いた時に、「これは本気だ」と思いました(笑)。
――しかもゲームでは皆さんがロックマンを救いに行くという、まさかの展開で。
秋本帆華 そうなんです。普通ありえないんですけど、遊び心がすごいなと思いました。
咲良菜緒 ロックマンがおじいちゃんになってしまうというのは、コラボだから出来ることだと、CAPCOMさんがお話してくれて、コラボとしてどこまでクオリティを高めることが出来るのかというのを真剣に考えてくださいました。
坂本遥奈 CAPCOMさんも含めた、皆さんの本気が詰まっているなと思いました!

4人のチームワーク
――さて、今回1stシングルということなんですけど、また1stシングルが出せる日が来るとは思ってもいなかったんじゃないですか。
秋本帆華 2度目の1stシングル、すごく嬉しいです! チームしゃちほこの1stシングルを出したときって自分たちでは、「シングルって何?」みたいな感じでよくわかってなかったんです。
咲良菜緒 そもそも、デビューするということすら、よくわかっていなくて。
坂本遥奈 全国デビューとか名古屋メジャーデビューとか、色んな言い回しがあったので、正直どこで自分たちがちゃんとメジャーデビューしたのかも当時はわかっていなかったんです。
咲良菜緒 メジャーデビューしたら何が変わるの? みたいな感じでしたから。一応インディーズとメジャーがどう違うのかという説明も受けたんですけど(笑)。
秋本帆華 でも、ファンの方たちが「メジャーデビューすごい!」と言ってくれたので。
大黒柚姫 それがおめでたいことなんだな、ということはわかったんですけど(笑)。
咲良菜緒 当時の私達のなかでは事務所とメーカーさんの違いもわかっていなかったので、スタッフさんが増えただけみたいな…。
――でもそれが一番大きな変化かもしれないですよ。責任感も生まれたんじゃないかなと思うんですけど。
咲良菜緒 そこから長いこと責任感は生まれてなかったです(笑)。たぶん2〜3年ぐらいは事の重大さに気づいてはいなかったんじゃないかなと思います。
坂本遥奈 2014年に日本武道館でコンサートをやったあたりから、やっと芽生えてきたと思うんです。武道館公演が決まって初めてボイトレの先生が付いたんです。
咲良菜緒 そこで初めて発声練習というものをやって。
坂本遥奈 それまでは一回もボイトレやったことがなかったですし、レコーディングの前でも各自でやっていく感じだったので、武道館の前に1週間ぐらい時間を取って練習したんです。
大黒柚姫 すごい説明していただいて、横隔膜がどうとか。
秋本帆華 そうだ! 図に書いてもらって発声のしくみを教えてもらったんです。
坂本遥奈 武道館の手前にそれをやっていたので、色々遅すぎだなと思いましたけど(笑)。
――その時の経験が今も活きていますよね。
秋本帆華 活きています。8年も活動してきているので、歌も頑張らないといけないなと今も思っています。
――では、「Rocket Queen feat. MCU」のレコーディングはいかがでした?
坂本遥奈 レコーディングには本間さんと晴一さんも立ち会ってくださいました。
大黒柚姫 私が1番最初だったんですけど、晴一さんが私の歌を聴いて、デモの歌から半分くらいニュアンスが変わったんです。お2人のお仕事を間近で見れたんですけど、私達にも「これどう思う?」と意見を求めてくれたんです。それもあって本当にみんなで出来た曲というのが強いです。
秋本帆華 私はレコーディング後組だったのでお2人はいなかったのですが、今話を聞いてお2人に立ち会っていただいたなんて「いいなあ」と思いました。
坂本遥奈 私も後組だったので、柚姫が歌っているのを菜緒が聴いてくれていて、私と帆華は菜緒がスマホのボイスメモで録音したものを送ってもらったんです。それがどんどん来て「また変わったんだ!」って(笑)。
咲良菜緒 そうなんです。柚姫の歌が変わる度に私がスタジオの外に出て、変わった箇所を鼻歌で録音して2人にLINEで送って。
秋本帆華 私達はそれを聴いて練習しました。
咲良菜緒 ボイスメモを聴かれるのはけっこう恥ずかしいんですけど(笑)。
――チームワークはさすがですよね。晴一さんとはそのあとお会いしました?
大黒柚姫 ランチタイムに偶然会いました(笑)。食事が終わった後、わざわざ私達の席まで来てくださって、「次ライブいつあるの?」と聞いてくださったんです。「時間があったら観に行くね」と言ってくださってすごく嬉しかったです。晴一さんはサラダを食べているだけで、オーラがすごかったので、すぐ気づきました。
――レコーディングの他にもチームプレーが光った瞬間はありますか。
坂本遥奈 ライブ中にもけっこう連携プレーはあります。私が馬跳びするパフォーマンスがあるんですけど、その時は他のメンバーにマイクを預けるんです。その後にマイクを受け取るときに、間違えて菜緒のマイクを受け取ってしまったことがあるんです。
咲良菜緒 私が渡すマイクを間違えちゃって…。
坂本遥奈 次の曲がしっとり系の曲だったので、マイクを取り替えるのがすごく難しい状況だったんですけど、ちょうど手を上に振り上げる振り付けの時に菜緒が隣りにいて、マイクを振り付けの中で奇跡的にマイクを交換することが出来て、私も菜緒も同じことを考えていたんです。
秋本帆華 全然違う立ち位置に行ってしまっていても、みんながその子の立ち位置に入ってくれていたりとかは日常茶飯事です。
咲良菜緒 つい先日も意思の疎通が出来ているなと感じたことがありました。『AICHI GIRL'S EXPO 2019』の中で歌唱王を決めるコーナーがあってTEAM SHACHI代表で柚姫が出場したんです。私達の歌唱力はそんなに高くはないので、柚姫に「私達は盛り上げる方でいこうよ」と話していたんですけど、会場のお客さんがみんな座っていて…。それを見ていた私たち3人は「柚姫、お客さん立たせないかな」と思っていたら、柚姫が「みんな立って!」と言ったんです。その時は繋がってると思いました。
秋本帆華 柚姫が言った瞬間は、思っていることが一緒だったとみんな感動して(笑)。
――8年も一緒にやっていると考えていることは同じなんですね。
坂本遥奈 TEAM SHACHIだったらどう魅せるかというのが、きっと同じなんだと思います。

ロックバスターダンスは肩こりに効く!?
――「Rocket Queen feat. MCU」の(マーチングバンド ver.)のMVはワンカット撮影ということですが、撮影はいかがでした。
咲良菜緒 長岡中越高等学校吹奏楽部の方たちは朝早くからリハーサルをやっていて下さって、私達は吹奏楽部の方たちより遅く入ることになってしまったので、私達のNGの方が多かったと思うんです。ちょっと通り過ぎちゃったりとか見切れてしまったりとかありました。一つのカメラで撮っていたので、なかなかタイミングが合わなくて。でも、吹奏楽部の方たちはすごかったです。
坂本遥奈 吹奏楽部の方たちが完璧すぎてしまって、現場でこんなことをやってみようとアイディアが増えていって(笑)。
咲良菜緒 吹奏楽部の方たちはダンスはやったことがなかったみたいで、振り付けを教えてからMVの撮影だったんですけど、その2週間ですごい練習してくださっていて、クオリティがめちゃくちゃ上がった状態で撮影に臨めたので、私達のNGで撮影回数は増えてしまったんですけど、半日ぐらいで撮り終えることが出来ました。
坂本遥奈 最初から2サビ終わりまでが学校の1階と2階の廊下を全部使っての撮影だったので、最初が一番大変でした。
――カメラマンさんも大変そうですよね。
坂本遥奈 そうなんです。女性のカメラマンさんなんですけど、走って撮ってるんです。
大黒柚姫 最後の校庭でのシーンもカメラを手で持って、走って撮ってくれています。後ろ歩きですごいスピードで撮っていたりもしたので、あれはすごいと思いました。
――職人技ですよね。あと、サビで肘をくるくる回している振り付けもいいですよね。
大黒柚姫 ロックバスターをイメージしているんです。
――これ名前とかあるんですか。
秋本帆華 特になかったので今つけますね…。じゃあ“ロックバスターダンス”で(笑)。
坂本遥奈 サビのロックバスターダンスに注目ということで(笑)。サビではこれしかなくて、ずっと肘を回しているのでけっこう大変なんです。
――ロックバスターダンスはエクササイズにも使えそうですね。
大黒柚姫 そうなんです。けっこうこれが肩こりにも効くんです。私はこれまで肩甲骨はがしが怖くて出来なかったんですけど、ロックバスターダンスをやるようになってから肩甲骨が出るようになったんです。
咲良菜緒 私もこれをやってから肩が軽くなりました!

TEAMは読まない!
――「わたしフィーバー」はメンバー4人が初めて主演を務めた映画『燃えよ!失敗女子』の主題歌ですが、映画に出演されてみていかがでしたか。
咲良菜緒 グループとして映画を作っていただくのは初めてでした。女の子がドキュメンタリー的な感じで、みんなが絡むというような感じではなくて、一緒にお芝居をするところはほとんどなかったんです。完成した作品を観てみんながどんなことをしていたのか知ったので、みんなの撮影はどうだったのか私も知りたいです(笑)。
坂本遥奈 ディレクターさん役の佐藤真弓さんはベテランの方だったので、共演者の方たちに引っ張ってもらった感覚があるんです。本当に皆さん演技が上手いので、私も負けないようにしなきゃと頑張りました。
秋本帆華 私の役はすごくポジティブで「世界は私中心に回っているんだ、全てうまく行く」といった感じの役でした。私はマンガも大好きで、主人公気質のあるフリ切れている感じがめちゃくちゃ好きなんです。今回、そういった感じの役をやらせていただいたので、撮影をしていた昨年の11月頃は、その役のおかげでプライベートもハッピーでした。
大黒柚姫 私は唯一相方さんがいました。チョーヒカルさんというボディペイントをやっている方なんです。チョーヒカルさんも学生時代に演劇部に所属していたことはあったみたいなんですけど、演技をお仕事にしているわけではなかったんので、すごく不安だったんですけど、一緒に高め合いながら撮影が出来ました。でも、メンバーがいないとやっぱり寂しいなと思いました。なので、メンバーと入時間が近くて、会えた時はすごく嬉しくて。
秋本帆華 そうなの?(笑)。
咲良菜緒 え〜かわいい(笑)。
大黒柚姫 メンバーが大好きなので、一人になると不安になっちゃうんです。
――プライベートでも遊びに行くくらい仲が良いですからね。さて、菜緒さんはいかがでした?
咲良菜緒 私は撮影の初日で、クライマックスからの撮影だったんです。藁人形を木に刺すシーンからの撮影で、早朝からめちゃくちゃ叫び倒すんですけど、ピークから撮り始めたので、どんどんテンションを下げていく感じ、逆算してお芝居をしなければ行けなかったので、集中しましたし頭も使いました。
――それはけっこう大変ですよね。この芝居の経験はTEAM SHACHIの活動にも活きていますか。
咲良菜緒 活きていると思います!
坂本遥奈 演技も歌ってステージに立つということも近いところがあると思うんです。お芝居の違う自分になるという面で、曲ごとに表情を変えたりとか通じるところはあるのかなと思います。
――表現するというところは共通していますし、色んな経験をした方がいいですよね。さて、最後にTEAM SHACHIとして、これからチャレンジしていきたいことはありますか。
秋本帆華 自分たちで作詞をしたり、振り付けをしたり、色んなことにチャレンジさせていただいているんですけど、世界へ視野を広げて、海外で路上ライブとかやってみたいね、ということをメンバーと話しているんです。ブラス民が付いたので、海外のストリートでやっても興味を持ってもらえるんじゃないかなと思うんです。あと、改名して新たなスタートを切ったので、もっと認知度を高めたいです。なので、フェスにもっといっぱい出たいなと思っています。
咲良菜緒 まずはTEAM SHACHIのTEAMは読まないで、SHACHIって読むんだよというのを知ってもらいたいです。フェスとかでも五十音順で紹介されるときに、私たちがサ行に入っていると「何でだ?」と周りの人は思うんですけど、TEAMを読まないということを知ってもらえれば、そこに疑問がなくなると思うので、そこを認識してもらえるように頑張ります!
(おわり)

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