☆☆☆ドラドラしゃっちー☆☆☆ 《のほほ〜ん日記》 › 寅さん › 現代人に寅さんはどう映る?
2019年12月28日
現代人に寅さんはどう映る?
『男はつらいよ』入門!
令和元年に帰ってきた寅さんは
現代を生きる私たちにどう映るのか?
《12/28(土) 18:00配信 エムオンプレス》

日本が世界に誇る超長寿シリーズ映画『男はつらいよ』が開始から50年目の今年、奇跡の復活を遂げる。
シリーズ50作目『男はつらいよ お帰り 寅さん』の製作が発表されると日本だけでなく各国の映画サイトも反応。近年は過去作のリマスターも進んでおり、若いファンも増えているという。現代の映画ではあまり描かれなくなった人情、優しさ、そして穏やかな笑い。今回、この冬からでも間に合う”寅さん”入門をお届けする。
ギネス記録にも認定。
日本が誇る長寿シリーズ「男はつらいよ」とは?
1968年から翌年にかけて放送されたTVドラマの人気を受けて、1969年8月に映画『男はつらいよ』はスタートした。主人公の車寅次郎を演じるのは、名優・渥美 清。東京の葛飾区柴又で生まれた”フーテンの寅”の仕事はテキ屋稼業。実家の団子屋にはたまに顔を見せるぐらいで、年中風まかせの旅を続けている。
映画は基本的には定番のパターンで進行し、寅さんが旅先で”マドンナ”と呼ばれる女性キャラクターに出会い、恋をして何かと世話を焼いてやり、マドンナも寅次郎の優しさや人情に惚れるが最終的にいろいろあってマドンナは新しい人生を見つけ、寅さんは失恋して、心に傷を抱えて次の旅に出る。
シリーズには寅さんの異母妹のさくら、その夫の博、寅次郎の叔父、叔母、団子屋の裏にある印刷工場の通称”タコ社長”、柴又題経寺の住職らおなじみのメンバーが登場。作品ごとに新しい人物やマドンナが登場し、長寿化するに従って寅次郎よりも若い世代の人物も描かれた。
映画は大ヒットを連発し、一時期は盆と正月に新作が公開される状況に。いまだに「かつては初詣に行って、帰りに映画館で寅さんを観るのが恒例だった」と語る年配の映画ファンは多い。その結果、シリーズは新作を重ねに重ねて全48作が公開。”世界最長の映画シリーズ”としてギネスブック国際版にも認定された。
しかし、1996年に主演の渥美清がこの世を去ったことからシリーズは終了。ファンの声を受けて人気作に新撮映像を追加して再編集した第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』が公開。その後は新作は製作されていないが、シリーズの人気は衰えることはなく、柴又には記念館がオープン。これまでの全作品が4Kデジタル修復され、ブルーレイになったほか、劇場でも公開されている。
50周年、50作目。
あの伝説のシリーズが帰ってきた!
そしてシリーズ開始から50周年を迎えた2019年、新作にして第50作目となる『男はつらいよ お帰り 寅さん』が12月27日に公開された。舞台はなんと“現在の東京”。博とさくらの息子でかつては何かあると寅さんに悩みを相談していた寅次郎の甥・満男は現在は小説家で、娘は中学生になった。亡くなった妻の七回忌で柴又に帰った満男は、団子屋からカフェに生まれ変わった「くるまや」で、両親や親戚、近所の人たちと昔話をしながら、寅さんのことを思い出す。
新作映画にはかつてのレギュラー出演者、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、後藤久美子らが再集結。シリーズを長年に渡って手がけてきた名匠・山田洋次監督が再びメガホンをとり、新たに撮影した“現在”の物語と、最新の技術を駆使して修復された過去のシリーズ映像を組み合わせて、新たな物語を描きだす。さらにシリーズ最大の人気を誇り、寅さんのかつての恋人だった人気マドンナ・リリーを演じた浅丘ルリ子も登場する。
そして映画の冒頭で必ず流れるおなじみのテーマソングは、寅さんの大ファンでもある桑田佳祐が歌唱。これまでのシリーズを観てきたファンはタイトルの通り「お帰り」と言いたくなり、これまでのシリーズを観ていなかった観客も、人情味があって、どこか抜けているところも魅力的な寅さんの姿を存分に楽しめる映画になっている。
なぜいま”寅さん”なのか?
『男はつらいよ』が描く時代。
時を超えてついに製作された50作目について山田洋次監督は「先行き不透明で重く停滞した気分のこの国に生きるぼくたちは、もう一度あの寅さんに会いたい、 あの野放図な発想の軽やかさ、はた迷惑を顧みぬ自由奔放な行動を想起して元気になりたい、寅さんの台詞にあるように『生まれてきてよかったと思うことがそのうちあるさ』と切実に願って第50作を製作することを決意した」と語る。
振り返れば、シリーズ開始当初の1960年代後半の日本は高度成長期と呼ばれ、経済もグングン伸び、日本全体に活気がある時期だった。さらにこの頃はまだ人情や、親切、優しさ、相手を思うがゆえのやせ我慢がドラマの中で信じられた時代。同時に世の中がめまぐるしいスピードで変化していく中で少しずつ息苦しさが増していった時代でもある。
そんな中、定住することなく風まかせに旅を続け、実家には何の連絡もなく戻り、勢いあまってトラブルを起こしても憎めない寅次郎の姿は多くの観客を魅了した。それはもしかしたら現実の世界には存在しない夢のような存在かもしれない。しかし人々はスクリーンの寅さんを熱烈に支持した。
注目すべき点は本シリーズが常にその時々の日本の姿を収めてきたことだ。寅次郎が旅するのは1960年代後半から90年代半ばまでの日本の風景。49本の映画の中でその姿は大きく変貌し、柴又の団子屋だけが変わらない”実家”として主人公と観客を出迎える。
そして、2019年。山田監督が語る通り、日本はこのシリーズが始まった時よりも、このシリーズが終了した90年代よりもさらに重く、不透明な時代に突入している。人情や知らない人に向ける優しさを見かけることも減ってしまったかもしれない。そんな現代の観客に、寅さんはどう映るだろうか? こんな人がいてほしい!と思うのか、それともファンタジーの住人のように映るのか?
シリーズを愛してきたファンにとって本作は願ってもないプレゼントだが、もし時間があれば、これまでシリーズを観たことのない人も映画館で寅さんの姿を目撃してみてほしい。かつて日本で多くの人から愛され、夏休みや年末年始を共に過ごした男は一体、どんな人物なのか?
ちなみに本作は、中学生以下の観客は100円(税込)で観賞できるキャンペーンを実施。若い観客が、かつて日本を賑わせた伝説の人気キャラクターをどう見るのかも気になるところだ。
(c)2019松竹株式会社
カテゴリー=寅さん ←クリック
最近の記事一覧 ←クリック
Posted by ドラドラしゃっちー at 20:43│Comments(0)
│寅さん