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2022年05月07日
大野雄大 “完全未遂”の価値
中日 大野雄大
”完全試合未遂”の価値
《5/7(土) 7:33配信 THE PAGE》

中日の大野雄大が9回を打者27人の”完全”に抑えたが
0-0のまま延長戦に突入。10回二死から佐藤輝明に
二塁打を打たれて大記録を逃した。
ゲームはサヨナラ勝ちで2勝目をゲット
(資料写真・黒田史夫)
0-0のまま延長戦に突入。10回二死から佐藤輝明に
二塁打を打たれて大記録を逃した。
ゲームはサヨナラ勝ちで2勝目をゲット
(資料写真・黒田史夫)
中日の大野雄大(33)が6日、バンテリンドームで行われた阪神戦で9回まで一人の走者も出さずに”完全”に抑えたが得点が入らず延長10回に突入し、二死から佐藤輝明(23)に二塁打を浴び大記録を逃した。立浪和義監督(52)の交代の打診を断り続投を志願しての結果だった。だが、チームは一致団結。10回一死満塁から石川昂弥(20)のサヨナラヒットで大野に勝利を届けた。
9回を打者27人のパーフェクト投球
両手に祝福のためのミネラルウォーターを持った大野が真っ先にベンチを飛び出した。
一死満塁から8番打者の石川のサヨナラ打が前進守備の間をぬってセンターへ抜けていく。完全試合という大記録は逃したが、“ドラマ・イン・ナゴヤ“のフィナーレはハッピーエンド。
「僕は10回で降板すると決まっていたので、あとはチームがなんとか勝ってくれたらいいなと思いながらベンチにいたんですけど(石川)昂弥に満塁で回ってきた。前の打席は申告敬遠で歩かされて僕だった。(10回は)満塁になったので勝負するしかなかったので絶対打ってくれると思っていました」
大野は20歳のホープに感謝した。
8回には二死二、三塁のチャンスに石川が申告敬遠で歩かされ、大野がセンターフライに倒れていた。
「青柳投手がすごい投球をしていたので1点勝負のゲームだなと思いながら投げていた。もちろん走者を出していないことも気づいていましたし、とりあえず先頭を切って頑張っていこうという気持ちで投げていました」
9回を27人で投げ終えた。ただし、この時点でスコアは0-0。1点でも入らなければ完全試合は成立しない。大野は「あとは頼んだ」とナインに声をかけてベンチへと歩いた。
立浪監督は、ベンチの一番奥に座る大野のもとに行き「もうええか?代わるか?」と打診した。
球数は108球。一度は交代を了承したが、「柳ならもう一回いくと言うだろうな」と、ふと若き右腕の顔が浮かんだ。キャプテンマークを胸につけるエースとして次世代のエースに背中で伝えねばならないものがある。大野は、立浪監督を追いかけて「あと1イニングだけ行かせてください」と続投を志願した。
延長10回、打者30人目に悲劇が待っていた。二死を取ってから、3番の佐藤を迎え、ホームランだけは避けたい場面で、外角低めを狙ったストレ―トが逆球となり甘く浮いた。失投だった。打球は右中間を真っ二つ。大記録が途切れたと同時に得点圏に走者を進めるピンチとなった。
「初めてのヒットでツーベース。一打勝ち越しで相手が4番ですから」
ここで立浪監督は自らマウンドに足を運ぶ。
「ひとつのアウトを慌てずに取りにいけ。大山か、島田か、そこは任せる」
そう伝えた。
一塁は空いていた。大山と勝負するのか、それとも大山を歩かせ、次打者の島田と勝負するのか。その場合、代打が出てくる可能性もある。
大野は迷わず大山と勝負した。ストレートで詰まらせてセカンドフライ。大野は、ベンチを下がる際に大記録を逃した、その1球を悔やむかのように、一瞬だけ、自虐的な笑みを浮かべた。
2019年9月14日に同じく阪神戦でノーヒットノーランを成し遂げているが、完全試合となると、また記録の価値が違う。
実は過去に同じ“完全未遂“が一度だけある。2005年8月27日の西武ー楽天戦で、現在、西武2軍監督の西口文也が、9回を完全に抑えたが、楽天の先発、一場の力投もあって0-0の展開で延長戦に突入。西口は、延長10回に先頭打者の沖原にヒットを許して完全試合を逃した。この試合は、西武がサヨナラ勝ち。ちなみに西口と大野は誕日が9月26日で同じ。不思議な運命で結ばれているような出来事が17年の時を超えて2度繰り返された。
なぜ大野は完全未遂の快投を演じることができたのか。立浪監督は「ボールも走っていたしツーシームも非常によかった」と分析した。
10回二死までの29個のアウトの内訳は、三振が5、内野ゴロが12、内野フライ(ファウルを含む)が3、外野フライ(ファウルを含む)が9。キレ味抜群の宝刀ツーシームのほとんどがコントロールを間違うことなくヒザ下に落ちた。そして1回から9回まで146キロの変わらぬ球威をキープしたストレートが軸となった。29個のアウトの結果球の内訳でいえばストレートが11と最大でフォークが10、カットが5、ツーシームが3と続く。4番の大山には延長10回の第4打席を除いて、すべてフォーク勝負、ロハスに対してはすべてストレート勝負と、タイミングが合っていないと判断したボールを徹底して使うという木下のぶれないリードも光った。
バックの好守が大野を盛り立てた。
「ほんまにみんなよく守ってくれたと思いますし、ありがたかったですね」と、大野がバックに感謝するシーンが3度あった。
立ち上がりに二死から佐藤にセンターへ抜けてもおかしくない打球を打たれたが、ショートの溝脇がセカンドべ―ス付近にポジショニングしており、難なくさばいた。8回には二死から山本に外角のストレートを逆方向に痛打された。快音を残した低いライナーが一塁方向へ飛んだがビシエドが手を伸ばして好捕。9回には一死から梅野の打球がライト方向へ飛んだが、ファウルグラウンドのフェンス際で岡林がジャンピングキャッチ。全員が大野の大記録達成を懸命にバックアップした。
そして17年前の西口と一場の投げ合いと同様に好敵手の存在なしには語れない。阪神の先発、青柳は9回まで竜打線をわずか2安打に抑える力投でスコアボードにゼロを並べて大野の集中力を高めたのだ。
立浪監督も「投手戦。まさに両投手がいいピッチングをしていましたから」と言う。
矢野監督は9回二死から青柳に代打を送らなかった。記録がかかっていない青柳を延長10回のマウンドにも送った采配に疑問は残るが、大野のハートに火をつけたことは間違いない。
大野は、完全試合を逃したが、勝ったことに重要な意味がある。立浪監督が本音で語る。
「記録もすごく大切ですが、あれだけ投げても勝ちがつかないのが、一番、こっちとしてダメージが大きいので。10回までよく投げて勝ったことがよかった」
そして「どっちが勝ってもおかしくなかったんですけども、幸いああいう形で勝てたことが一つ、チームの力になっていけばいいなと思いますね」と続けた。
「大野のために」という一体感がチームにあった。先の横浜DeNA戦で、守りでミスを犯して途中交代を命じられ、戦う顔をしていない」と試合中に2軍落ち、名古屋への強制送還となった京田に代わって1軍に昇格した三ツ俣が、延長10回にあと少しでサヨナラホームランというフェンス直撃の二塁打で口火を切った。大野が大記録に迫ったドラマチックな試合を勝ち抜くことがチームの力に変わる。
お立ち台で大野がファンに公約した。
「今日は1つ勝てたんですけど、僕自身はまだ2勝3敗。これからどんどん勝ち星を伸ばしていって、チームをどんどん上位に上げていけるようにこれからも腕を振って最後まで投げ切れる試合を1つでも増やせるようにやっていきます」
連敗を止めて勝率5割割れの危機にあったチームは再び貯金「1」とした。
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Posted by ドラドラしゃっちー at 12:00│Comments(0)
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