2024年02月20日
『SHACHIの変化と手応え』大黒柚姫

2022年夏、それまで10年間にわたってタッグを組んできたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEを卒業し、プライベートレーベル・ワクワクレコーズを立ち上げたTEAM SHACHI。結成12年目ながら新たな道を歩んでいる彼女たちが、レーベル設立後初のフルアルバム「笑う門には服着る」をリリースした。
アルバムは「さまざまなジャンルの服(=曲)を着たTEAM SHACHI」が作品全体のテーマ。早くもライブの鉄板曲に定着した「沸き曲」、ヤマモトショウが提供した「おとなりさん」という先行配信曲2曲のほか、本間昭光やMIMiNARI、沖聡次郎(Novelbright)、松隈ケンタ、TEAM SHACHIの盟友・浅野尚志による新曲が収められている。プライベートレーベルからの発表となったことで、グループの音楽性にどのような影響があったのか。楽曲以外の面ではいったいどんな変化が訪れたのか。2016年以来となる東京・日本武道館公演の開催を目指しているTEAM SHACHIを深く掘り下げるべく、音楽ナタリーではメンバー4人の個別インタビューを行った。
《音楽ナタリー 2014.2.14》
取材・文 / 左藤豊撮影 / 佐々木康太
取材・文 / 左藤豊撮影 / 佐々木康太
大黒柚姫 インタビュー
安心して
TEAM SHACHIについてきて
TEAM SHACHIについてきて
──ここまで3人にお話を伺ってきたのですが、プライベートレーベルでの活動に皆さん手応えを感じているようでした。大黒さんもほかの皆さんと同じでしょうか?
はい、私も今すごく活動を楽しめています! 最初は「私たちどうなっちゃうのかな」という不安が大きかったんですけど、プライベートレーベルで活動してみると自分たちの意見を形にして発信できることが増えて。メンバーがやりたいと思ったことに挑戦できる環境だなと感じているし、今また新鮮な気持ちで活動に臨めています。ステージに立つ側として、「ライブでこういう曲が欲しいよね」という話は昔からメンバー内でよくしていたんです。でもそれをスタッフさんに直接伝えられる機会が、プライベートレーベルになってからとても増えました。その結果、楽曲の幅もライブの幅も広がったと最近特に感じますね。
──今回のアルバムの楽曲の多くも、メンバー側からの「こういう曲が欲しい」という要望で作られたそうで。
そうです。例えば「おとなりさん」で言うと、今までTEAM SHACHIは誰かの背中を押すような応援ソングが多かった一方、かわいい恋愛ソングが全然なかったんです。でも私自身アイドルが大好きだし、ファンの立場からすると推しのかわいい姿を見られるのはうれしいじゃないですか。時代の流れ的にも最近はかわいさに振り切った曲がたくさんヒットしているので、私たちも挑戦してみたいなと思ってヤマモトショウさんに楽曲を作っていただきました。「おとなりさん」はファンの方にすごく喜んでいただけているので、挑戦してよかったなと思っています。
──プライベートレーベル立ち上げ以前と以後で、楽曲を制作する過程での違いはありますか?
以前は、長年お世話になっている方にずっとレコーディングのディレクションをしていただいていました。それがプライベートレーベルになってからは、松隈さんの楽曲であれば松隈さんが、Sundae May Clubの浦(小雪)さんの楽曲なら浦さんが直接ディレクションしてくださるというような機会も増えて。いろんな方と関わることで、今まで見せてこなかった一面、自分でも知らなかった一面を引き出していただいているように感じます。メンバー同士でも「この子、こんな歌い方もするんだ!」という発見があり、新境地を切り開けたアルバムになりました。
──ちなみに、誰のどんな一面を新発見しましたか?
みんな新しい面が出ているけど、一番わかりやすいのはほーちゃんかな。ほーちゃんの歌声ってかわいいんです。カッコいい曲でもかわいさを残しながら情熱的に歌うのが彼女の魅力で。そんな中、今回のアルバムに収録されている「勲章」という曲は、「私たちががんばってきた12年の歴史はすべて勲章だよ」というめちゃくちゃ熱いメッセージが込められていて、この曲のほーちゃんの歌声が今までとは全然違うんです! カッコいいほーちゃんに、メンバーみんなびっくりしました。
──「勲章」は松隈ケンタさんから提供してもらった楽曲ですね。
ほーちゃんに話を聞くと、ディレクションで松隈さんから「かわいさは消して、カッコいい部分だけを見せて」と言われ、レコーディングブースの照明を消してライブ会場本番さながらの雰囲気の中でレコーディングをした、と言っていました。今回のツアーでも「勲章」は毎会場セットリストに入っているんですけど、私自身、生のほーちゃんの歌声は何回聴いてもカッコいいなと感じています。満員の日本武道館でライブをするという目標を掲げて活動をしている中、「勲章」でのほーちゃんの歌声を聴くと「もっとがんばろう!」って思えるし、元気がもらえます。
──メンバーから刺激やパワーをもらい、それを原動力として日本武道館を目指して進んでいるわけですね。
はい! なので、今回メンバーの新しい面を引き出してくださった作家の方々には本当に感謝しています。そして、仲間たちと切磋琢磨しながら、皆さんの想像を超えるパフォーマンスをしていかなきゃいけないなと思っています。「目標を作らず今を楽しもう」という活動のスタイルも、きっと幸せだとは思います。でも私は常に目標を持っていたい。なりたいものを思い描いて、そこへ向かっていく過程が私は好きなんですよね。仲間と協力して進んでいく熱い感じが大好き! ときにはメンバー同士ぶつかることもあるかもしれないけど、みんなで同じ方向を向いて進んでいきたいです。
──熱いですね! 先ほど坂本さんに話を伺ったところ「最近の柚姫はファンやメンバーへの愛がダダ漏れ」とおっしゃっていたのですが、今の大黒さんの言葉を聞いて、まさにその通りだと思いました。
確かにダダ漏れしちゃっていますね(笑)。もともと愛情深いタイプではあったんですけど、最近その重さがさらに大きくなっちゃっているんです。武道館への思いも強すぎて、ツアー中に何度も感情が込み上げてきたりして。その愛がファンのみんなにも伝わっていたらいいな。ハル(坂本)とはツアー先のホテルで一緒に寝たりするんですけど、「明日は朝早いから、早く寝ようね」と言いつつ結局熱い話をしちゃうんですよ。この前も2人でベッドの上で「今のTEAM SHACHIに足りないものは何か」ってテーマで熱く語り合いました(笑)。でも、ここまでメンバーと腹を割って話すようになったのも最近になってからで。以前はスタッフさんが敷いてくださったレールの上を走るのが私たちの役目だったけれど、TEAM SHACHIに改名したくらいからメンバーに意志が生まれて、その意志をお互いに話すようになりました。
──では最後に、今後の活動に向けての意気込みをお願いします。
私は、TEAM SHACHIを好きでいてくださる方たち全員に平等に愛を届けたいなと思っています。最近、ファンの方同士がツアーなどを通してどんどん仲よくなっている気がするんですよ。はじめましての方に積極的に話しかけているのをX(Twitter)でもよく見かけますし。もしかしたら「12年もやっているTEAM SHACHIを今から好きになるのって、出遅れてるかな」と思っている方もいるかもしれないけど、全然そんなことはありません! 好きになってもらえたら、平等に大きな愛で包みます! なので、ニューアルバムを聴いて興味を持ってくれたら、一度ライブに足を運んでいただけたらうれしいです。タフ民(TEAM SHACHIファンの呼称)はみんな優しいので、お友達もできるはず。Xで「初めて行きます」とつぶやいてくれたら、きっといろんなタフ民から「FF外から失礼します」ってリプライが来ると思う(笑)。だから安心してTEAM SHACHIについてきてください!

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